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主な有害性・安全性試験方法の概要

住化分析センターではお客さまの目的にあわせて、提携している国内・国外の試験機関で、最適な試験方法による試験をご提供します。 下記以外の安全性試験ならびにそれらに関する情報提供、コンサルティングなど、各種ご相談に応じておりますので、お気軽にお問い合わせください。

急性毒性試験

一般的に急性経口毒性試験を行うことが多いですが、原則として被験物質の曝露経路に基づき経口、経皮、吸入から選びます。

急性経口毒性試験

現在OECDで定められている急性経口毒性試験はOECD TG420:固定用量法、OECD TG423:毒性等級法およびOECD TG425:up-and-down法の3つの方法があります。当社で主に取り扱っているOECD TG420及びTG423についてご紹介いたします。

  1. 急性経口毒性:固定用量法(OECD TG420)
    動物(ラット等)に被験物質を1回経口投与し、投与後14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。始めの投与用量は被験物質情報より5、50、300、2000mg/kgから決め、まず1匹の動物で試験をします。死亡や毒性兆候がない場合その用量で引き続き動物4匹を試験し、その結果からLD50(50% lethal does)の範囲を推定します。
  2. 急性経口毒性:毒性等級法(OECD TG423)
    固定用量法と投与用量、投与方法、観察期間・検査は同じですが、投与用量の設定方法が異なります。始め予測されたLD50の投与用量で動物3匹の試験を行い、2匹以上死亡した場合は用量を下げて同様に行います。同一投与用量で2回行ったときの死亡が1匹以下となる用量を求めLD50の範囲を推定します。

急性経皮毒性試験(OECD TG402)

皮膚を経由して毒性を示すものあるいはその用途で皮膚への接触が主に考えられる場合などに行います。動物(ラット等)に被験物質を最高2000mg/kgで、24時間塗布し、14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。

急性吸入毒性試験(OECD TG 403/436)

呼吸器を経由して毒性を示すものあるいはその用途で吸入曝露が主に考えられる場合などに行います。 動物(ラット等)に被験物質を5mg/Lを最高用量として4時間吸入させ、14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。吸入毒性試験には全身曝露と鼻部曝露試験がありますが、必要試料量の少ない鼻部曝露試験でも他の急性毒性試験に比べ非常に多くの試料量を必要とします。(経口、経皮:数十g、吸入:kg~数十kg)

局所刺激性試験

皮膚刺激性試験・眼刺激性試験(OECD TG404・TG405)

皮膚刺激性・眼刺激性試験に関しては、OECDテストガイドラインでは動物愛護の観点から、被験物質の腐食性・刺激性を調査或いは構造相関より推定し、また被験物質のpHが2以下或いは11.5以上の場合はそれを持って腐食性と判断します。事前調査において腐食性・刺激性の情報が無く、pHが2~11.5の範囲内の場合は、まず動物試験代替法であるin vitro試験を行い、in vitro試験において腐食性が無くかつ判定不可の場合は動物による試験を行う手順になります。 皮膚刺激性・眼刺激性試験は供試動物としてウサギを用います。皮膚刺激性の場合は毛をそった1インチ(2.54cm)四方の皮膚に化学物質を液体は0.5mL、固体は0.5gを4時間閉塞塗布、眼の場合は化学物質を液体は0.1mL、固体は0.1gを点眼・適用し、試験を行います。1、24、48、72時間目に、皮膚刺激性では紅斑/痂皮および浮腫の発現の有無、眼刺激性では角膜混濁、虹彩炎、結膜発赤、結膜浮腫の有無で刺激性程度を判定します。
皮膚腐食性の結果は、国連危険物輸送勧告Class8(腐食性物質)の判定にも利用可能です。

感作性試験

皮膚感作性試験

動物愛護の観点から海外では動物試験代替法への移行が進められています。LLNA法はモルモットを用いた方法と比較して使用する動物数を減らし、試験期間がより短いため、動物愛護面ではメリットがある試験法です。LLNA法には放射性同位体を用いる試験法であるOECD TG429や非放射性条件下の試験法であるOECD TG442B等があります。また、動物を全く用いないin vitro試験法もあります。いずれの試験法も被験物質の物性が実施可否を大きく左右しますので、ご検討の際は物性情報と合わせてご相談ください。

試験方法 GPMT法
(Maximization test)
APT法
(Adjuvant & patch test)
Buehler法 LLNA法
(Local Lymph Node Assay)
検知方法 アレルギー発生・観察 アレルギー発生・観察 アレルギー発生・観察 増殖T型細胞を検出
供試動物 モルモット モルモット モルモット マウス
免疫増強剤 使用 使用 使わない 使わない
感作方法 皮内注射+塗布 塗布 塗布 塗布
検出感度
OECD TG OECD TG406 - OECD TG406 OECD TG429, TG442B等

 

変異原性試験

突然変異を引き起こす性質を変異原性(mutagenicity)と言い、変異原性と発がん性には高い相関があることが知られています。発がん性の試験には膨大な費用(1億円以上)と期間(3年)を要するため、発がん性予測のスクリーニングとして変異原性試験が広く用いられています。特にAmes試験(微生物を用いる復帰突然変異試験)は化審法並びに安衛法における新規化学物質の申請目的のみならずリスク評価管理などの目的で多くの化学物質について行われている試験です。染色体異常試験も化審法申請のためのスクリーニング毒性試験として要求されています。

Ames試験

Ames試験は米国のAmes博士が開発した変異原性試験の一つで、多くの化学物質あるいはこれらを用いた製品の安全性の指針として行われている試験です。 本試験は必須アミノ酸のヒスチジンあるいはトリプトファンがないと生育できないように変異させた(ヒスチジン要求性、トリプトファン要求性)サルモネラ菌や大腸菌を用い、これらの菌に変異性を有する物質(変異原)を処理すると菌が分裂する過程で元のヒスチジンやトリプトファン非要求性株に戻ること(復帰突然変異)を利用した試験です。 変異したヒスチジンやトリプトファン非要求性株はヒスチジンやトリプトファンを自己生産して増殖しコロニーを形成します。このコロニー数を計測することにより変異原性が陽性か陰性かを知ることができます。通常は5菌株[サルモネラ菌4菌株並びに大腸菌1菌株]を用いて行います。生体内の代謝活性により変異原となる物質も知られているため、ラットの肝臓抽出物(S9mix)を加えた代謝活性系での試験も同時に行います。 コロニー数が溶媒対照の2倍以上で用量依存性が見られる場合、陽性と判定します。

哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験

Ames試験はDNAの塩基性配列の変化など比較的小さな変化を捉えていますが、DNAにより大きな障害がもたらされると、染色体の構造異常として現れます。染色体異常試験は通常チャイニーズハムスターの繊維芽細胞株等を用い、変異原による染色体の構造的異常並びに数的異常を計測し変異原性を調べます。 化審法ではスクリーニング毒性試験として要求されています。 また安衛法ではAmes試験で強い陽性を示した場合要求されます。

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