細胞外小胞体の1種であるエクソソーム。そのエクソソームに内包されるRNAやタンパク質は、さまざまな疾患のバイオマーカーとして活用されています。当社では、エクソソームの指標抗原の探索から実際の検体測定に至る研究支援サービスをトータルで提供し、お客様の医薬品開発をサポートいたします。
エクソソームとは
細胞間情報伝達の一つとして知られているエクソソーム(Exosome)は、生体内のさまざまな種類の細胞から分泌される細胞外小胞(Extracellular Vesicles 、EVs)の一種です。脂質二重膜に囲まれた直径30~150nmの膜小胞体で、生体内の体液(血液・唾・尿・母乳など)中に存在しています。エクソソームには、宿主細胞由来のRNAやタンパク質が内包されています。エクソソームに内包されるこれらの成分(カーゴ)を細胞間で送達することにより、エクソソームは細胞間の情報伝達の役割を担っていると考えられています。エクソソームのこのような特徴から、疾患の診断や治療への活用が期待されます。
・バイオマーカーとしてのエクソソーム
エクソソームは癌および中枢神経疾患などさまざまな疾患のバイオマーカーとして注目されています。期待される利用例として、病態・疾患メカニズムの解明、薬効・安全性バイオマーカーの開発、患者層別化 (Companion diagnostics、CDx)、治療導入効果の予測などがあります。直接、血液をはじめとする体液中のバイオマーカーを測定するよりもエクソソームに内包されるバイオマーカーを測定することによって、由来組織が明確なバイオマーカー量が得られます。リキッドバイオプシー(液体生検、Liquid Biopsy)によりエクソソームの解析を行うことで、 一般的な生検(Biopsy)よりも患者(または被験者)への負担が少ない方法で、バイオマーカー量の変化を確認することも可能です。
・再生医療分野で期待されるエクソソーム
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells、MSC)は、疾患に対する種々の治療効果が知られていますが、その一部はMSCから分泌されるエクソソームによるものであることが、徐々に解明されてきています。
・ドラッグデリバリーシステム (Drug Delivery System 、DDS)としてのエクソソーム
エクソソームは脂質二重膜を持ち、その表面には種々のマーカーが存在します。この特性を活かし、不安定な核酸医薬品を癌細胞に送達するため、DDSとしてエクソソームを利用することが、癌治療の分野などで進められています。
サービス内容
当社では、エクソソームをバイオマーカーとして活用することに着目し、医薬品開発における研究支援サービスを提供しています。
期待される利用例 | 解析対象 | 分析項目 |
✓病態・疾患メカニズムの解明 ✓薬効・安全性バイオマーカーの開発 ✓患者層別化 (CDx) ✓治療導入効果の予測 |
エクソソームの量(数)および大きさ | ・エクソソーム分取・精製(超遠心、各種市販キット) ・粒子の数 および大きさ(tRPS) |
タンパク質 | ・総タンパク質量(BCA) ・膜表面マーカー検出(Western Blot) ・網羅的タンパク質解析(NanoLC-HRMS) ・標的タンパク質定量(ELISA、CLEIA、ECLIA) |
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遺伝子 | ・総RNA量(Qubit) ・マイクロRNA定量(RT-PCR, Digital PCR) |
注)本サービスは研究を対象としており、診断目的のサービス提供ではありません。
・エクソソームの薬効・安全性バイオマーカーとしての研究支援の例
免疫沈降精製またはイムノアッセイ計測に向けた指標抗原の探索(LC-MS/MS, Western Blot)
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免疫沈降精製またはイムノアッセイ計測に向けた指標抗原の探索(LC-MS/MS, Western Blot)
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ELISA法を利用した抗体スクリーニング (エクソソームへのダメージを最小限に抗体の反応性確認が可能)
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組織特異的エクソソームの精製法検討(免疫沈降) ~カーゴ分子の定量法開発(ELISA, PCRなど)
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・分析法バリデーション(性能評価試験)
・検体測定(信頼性基準およびGLP)
技術事例
関連情報