粉じん爆発は可燃性の粉じんが空気中に浮遊している状態で着火源の存在により爆発を起こす現象です。
可燃性粉じんはある比率で空気中に浮遊すると、何らかの着火源の存在により、爆発を起こすことがあります。 このような粉じんに対して「爆発のしやすさ」と「爆発の激しさ」の観点から、以下の試験が行われます。しかし、粉じん爆発性は粉じんの種類、粒径に顕著に依存するばかりでなく、 ガス爆発同様に試験装置、方法によっても結果が異なる場合がありますので、データの取り扱いには注意が必要です。 粉じん下限界濃度測定、および爆発圧力測定が2002年にJIS化されました。 弊社では、それに伴い2003年6月より下限界濃度、爆発圧力・圧力上昇速度測定・爆発指数(Kmax)につきましてはJIS規格に準じた試験法を採用しております。
分析条件
- 爆発下限界濃度
- 限界酸素濃度
- 爆発圧力・圧力上昇速度
- 最小発火エネルギー(最小着火エネルギー)
設備
装置 | 温度 | 圧力 | エネルギー測定範囲 | |
---|---|---|---|---|
爆発下限界濃度 | 吹上式(JIS Z8818規格) | 常温 | 常圧 | - |
限界酸素濃度 | 吹上式 | 常温 | - | - |
爆発圧力・圧力上昇速度 | 20L 球形 (JIS Z8817規格) |
常温 | - | - |
最小発火エネルギー (最小着火エネルギー) |
吹上式 | - | 数mJ~約1000mJ |
解説
爆発下限界濃度
粉じん爆発の要因の一つに、粉じん-空気混合物中の粉じん濃度があり、その濃度範囲内においてのみ爆発が起こります。 その濃度の低い方の値を爆発下限界濃度と呼び、粉じん爆発の起こりやすさを知ることができます。爆発下限界濃度は粉体の粒子径等によって異なってきますので、粒子径は特定しておく必要があります。実際に粉じん雲を形成している粉体を対象とするため、規格では 通常63μm篩下品で測定しますが、特段の事情がある場合は、有姿での測定について個別にご相談に応じます。
限界酸素濃度
窒素等の不活性ガスを添加して、粉じん-空気混合物中の可燃性粉体の酸素濃度を減少させていくと、どのような粉じん濃度でも爆発を生じなくなる限界の酸素濃度があります。この酸素濃度を限界酸素濃度(爆発限界酸素濃度)といいます。 弊社では粉じん-酸素-窒素等混合ガス系での限界酸素濃度の測定ができます。限界酸素濃度も粉体の粒子径等により変わってきますので、粒子径は特定しておく必要があります。通常は63μm篩下品で測定します。
爆発圧力・圧力上昇速度
密閉容器内の粉じん-空気混合物が爆発すると、容器内の圧力が上昇します。爆発圧力はある最適粉じん濃度で最大値を示し、この最大値をその粉じん-空気混合物の最大爆発圧力と言います。また、爆発圧力の時間に対する変化率の最大値を最大圧力上昇速度 と呼びます。爆発圧力は粉じんの種類、粒子径、濃度の他に、容器形状や粉じんの流動状態等の影響を受けるため、爆発指数(Kmax)を求めるためには、20L以上の爆発試験装置による試験が必要とされていることから、弊社では20L球形爆発容器を用いて測定しております。通常は63μm篩下品で測定します。最小発火エネルギー(最小着火エネルギー, 注1)
粉じん-空気混合物に局所的にエネルギーを与えると、このエネルギーが圧力、温度、粉じん濃度等によって決まるある値よりも大きい場合発火します。この発火の有無の限界のエネルギー値を、その粉じん-空気混合物の最小発火エネルギーと呼び、粉体を空気中で取扱うか窒素中で取扱うかを決める重要な指標 を与えてくれます。 弊社では吹上式粉じん爆発試験装置と容量電気火花電源装置を用いて測定が可能です。
最小発火エネルギーも粉体の粒子径等により変わってきますので、粒子径は特定しておく必要があります。通常は63μm篩下品で測定します。また、IEC規格(国際電気標準会議)に準拠した「MIKE-3」による試験については、別途ご相談承ります。
[注1]“最小発火エネルギー”の呼称は、安全工学協会の用法に準じた。因みに日本粉体工業協会では “最小着火エネルギー”としている。
装置
粉じん爆発試験 評価手順(例)
技術事例
関連情報
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