カーボンリサイクルのコア技術を支える触媒評価
2050年のカーボンニュートラルを実現するためには、排出される二酸化炭素を回収するだけでなく、回収した二酸化炭素を有効利用するための触媒による変換技術が非常に重要です。住化分析センターは二酸化炭素を資源に変換するための触媒(メタネーション用触媒、ポリマー変換用触媒など)開発を反応特性と構造物性の両面で支援します。
触媒の反応特性評価
触媒の反応特性を評価するには実際の反応環境下(ガス種、圧力、温度)にて試験を行い、触媒の作用を可視化、数値化することが重要です。
評価項目 | 手法・測定装置 | |
反応ガス |
表面吸着種 | in situ FT-IR(HC、H2O、COなど)、in situ ラマン |
ガス反応特性 | 各種ガスTPR(HC、H2O、COなど)、TG-MS、高圧ガス吸着測定 | |
担体表面特性 |
結晶欠陥 | in situ ラマン、in situ XRD |
酸化・還元特性 | TPR、TPD、in situ XRD | |
酸・塩基性 | NH3-TPD、CO2-TPD、ピリジン吸着FT-IR | |
親水性・疎水性 | 水蒸気吸着等温線、有機溶媒吸着等温線、表面官能基評価 | |
担持金属状態 |
結晶構造・原子配列 | in situ XRD |
酸化還元状態・配位構造 | in situ XAFS、in situ FT-IR、in situ XRD |
触媒の構造特性評価
触媒物性を担体、担持金属の面から明らかにすることは触媒の性能を引き出すために重要です。
担体の細孔構造や空隙を明らかにし数値化することでガスが接する表面積の違いが判別でき、担持金属の露出、埋没、分散情報から触媒本来の姿を評価可能です。
評価項目 | 手法・測定装置 | |
---|---|---|
細孔・空隙 | 粒度分布・粒子形状・粉体特性 | レーザー回折法、TEM・STEM観察、流動性・噴流性 |
比表面積 | N2、Kr、ArによるBET多点法 | |
細孔分布 | 水銀圧入法、N2ガス吸着法 | |
形態観察 | TEM、SEM、EPMA、レーザー顕微鏡など | |
担持金属 | 金属分散度・金属粒子径 | 化学吸着法(COパルス法など)、TEM、SEM、SAXS、XRD(結晶子) |
担持金属ナノ構造 | STEM-EDX、in situ FT-IR |