熱硬化樹脂の硬化条件として、温度、保持時間、昇温の方法が挙げられます。これらの条件が変わることで同じ熱硬化樹脂でも出来上がる硬化物の物性が変わります。硬化途中の収縮率、応力の評価は特性の要因を考える上で重要な情報になります。 本手法は硬化温度を変更した場合や、ステップ昇温した場合の収縮率及び応力の変化を連続的に確認することができるため、材料設計もしくはプロセス設定の最適化に貢献します。
硬化温度を変更したときの収縮率、応力測定事例
熱硬化樹脂は硬化条件により3次元の架橋構造が変化し、硬化後の物性や残留応力に影響を与えると考えられます。
硬化温度が硬化後試料のガラス転移温度(以下Tg)より高い場合、架橋点密度の高い構造が形成され短時間で硬化反応が完了しますが、硬化収縮応力が大きくなり残留応力が発生しやすくなると考えられます。


ステップ昇温での硬化収縮率、応力測定事例
熱硬化型エポキシ樹脂を1段階の温度で硬化させた場合と、2段階の温度で硬化させた場合で硬化収縮率・応力を測定しました。
硬化収縮率は1段階昇温と2段階昇温ではほぼ差が確認されませんでした。一方で硬化収縮応力では1段階昇温の方が高い値を示しました。

硬化条件の変更は設備の変更や製造コストにも影響を与えるため、製品性能とコストのバランスをみて硬化条件を設定する必要があります。
硬化条件を設定するための指針として、硬化収縮率、応力測定がお役に立ちます。
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