豊富な観察技術を用いて、材料設計を支援いたします。
包材や各種機器筐体の材料として用いられる高分子材料の多くは、性能や機能を向上させるために異なる特徴を持つ材料を積層、混合した複数成分で構成されています。そのため、表面や断面の形態を観察することが材料設計に非常に重要となります。
特徴/当社の強み
①各種高分子材料に関する豊富な観察実績、経験に基づく高度な技術を有しています。
②前処理、観察手法を適切に選択し、より良い観察像をご提供します。
③ご依頼内容に合わせて、観察手法と成分分析を組み合わせた総合解析をご提案します。
フィルムの層観察および定性
包装用フィルムや容器等の包材は、機能性を付与するために数種のポリマーの積層体で構成されています。包材の層構造を確認するために、断面の光学顕微鏡観察(図1)およびFT-IRによる各層の定性分析(図2)を行いました。
光学顕微鏡観察結果からフィルムは5層構成と推定され、FT-IRスペクトルから各層はポリアミドの下に、わずかに構造が異なるポリエチレンが積層していることがわかりました。見た目には単一に見える透明フィルムでも、薄片化して各種手法(位相差、偏光など)により観察することで層構造を確認できます。
その他、フィルムの外観、接着不良、混入異物なども同様に分析することが可能です。
モルフォロジー観察
複数成分で構成される高分子材料は、内部構造観察によってその構造と物性の相関関係を知ることが重要です。高分子材料のミクロ相分離構造は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)で詳細に観察できます。ただし、C, H, O, Nなどの軽元素で構成される高分子材料は、そのまま観察しても内部構造を識別することができないため、電子散乱能が高い重元素を含む試薬を用いて染色を行うことで、コントラストを付与し観察する必要があります。
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)とポリカーボネート(PC)をブレンドしたポリマーアロイ(PC/ABS)のTEM観察写真を図3に示します。
PCとABSの配合比の違いによるモルフォロジーの変化を観察することで、強度などの物性や劣化状態との相関関係を知ることができます。