室内空気中の化学物質測定が強化される一方で、その発生源である建材からの化学物質の放散量を 測定する体制が整えられつつあります。建材からの化学物質放散量の測定方法をご紹介いたします。
背景/関連法規の説明/法規名/改正点
建築基準法が閣議決定されました。 ~シックハウス対策が盛り込まれています~
改正建築基準法が2003年7月1日に施行されました。
クロルピリホスを使用した建材の使用禁止、ホルムアルデヒド使用建材の制限が行われるようになります。 これにともない、経済産業省においても建材関係のJIS新設や一斉改訂が行われています。
測定法
JIS A 1901 小形チャンバー法
建材から放散されるホルムアルデヒドの測定は、デシケーター法が知られていますが、このたび揮発性有機化合物(VOC)にも対応する小形チャンバー法が2003年1月20日に制定されました。
換気回数は、日本の高気密・高断熱住宅相当で、室内の状態に近い試験条件下で放散量の評価が出来ます。
小形チャンバー法基本条件 | |
---|---|
チャンバー | 20L |
換気回数 | 0.5回/hr |
試料負荷率 | 2.2㎡/㎥など |
温度 | 28℃ |
試験期間 | ご相談に応じます(例:1・3・7・14・28日目など) |

小形チャンバー法と加熱加速試験
小形チャンバー法は試験期間が長いことが難点です。
当社では小形チャンバー法と加速試験法の相関を取り、より迅速に建材の放散量を求められる体制を整えています。材料の開発や選別段階のようなスクリーニング時には加速試験法をお勧めしています。
放散量が少ない、またチャンバー内に吸着が起こるため、小形チャンバー法では評価ができないフタル酸エステル類などの放散量測定が可能です。

室内空気中の化学物質発生源とされる建材は、その対策自体はだいぶ講じられてきています。一方、竣工した後、家主自身が持ち込む家具や家電から放散される化学物質が注目されてきています。今回は大型チャンバーを用いた評価をご紹介します。
150Lチャンバーを用いた ECMA/ENV準拠の家電評価
ENV-13419や、ECMA-328-00に準拠した150Lチャンバーです。
テレビやパソコン、オーディオなどを有姿で評価できる他、電化製品は駆動させたまま測定が可能です。
- 材質:SUS
- 容量:150L
- 温度:~60℃程度まで
大型試験チャンバー
アルミ製の4畳半程度の大型チャンバーです。家具や電化製品を入れ、一般住宅の一室を模した試験が可能です。
家具や家電からの放散量を評価する目的よりは、部屋に置いた場合のモデル試験、リスクアセスメント評価の目的に適します。
- チャンバー材質:アルミ
- 温度:常温
- 床面積:四畳半相当
- チャンバー容積:16.8m³
組立て式大型チャンバー
測定対象に試料負荷率を合わせることのできるサイズ可変の組立て式チャンバーです
- 平均温度:約19℃
- 平均相対湿度:約46%Rh
- 換気回数:0.5回/h
- 床面積:三畳相当
- 空間容積:5.2m³
小形チャンバー法との比較結果
小形チャンバー法とも良い相関が得られています。
PVCクロスの測定例をお示しします。
トルエン | T-VOC | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
時間(hr) | 24 | 48 | 72 | 24 | 48 | 72 | |
放散速度 (μg/㎡・h) |
大型チャンバー(平均19℃) | 176 | 134 | 56 | 3430 | 2736 | 1868 |
大型チャンバー(25℃換算値) | 238 | 181 | 75 | 4882 | 3894 | 2659 | |
小形チャンバー(25℃) | 267 | - | 70 | 4522 | - | 2784 |

技術事例
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