主な有害性・安全性試験方法の概要

急性毒性試験

一般的に急性経口毒性試験を行うことが多いですが、原則として被験物質の曝露経路に基づき経口、経皮、吸入から選びます。

※急性経口毒性試験

現在OECDで定められている急性経口毒性試験はOECD TG420:固定用量法、OECD TG423:毒性等級法およびOECD TG425:up-and-down法の3つの方法があります。以前は半数致死量(LD50)を算出するOECD TG401:急性経口毒性試験でしたが、同法は動物を60匹以上用いるため、動物愛護の観点から廃止され、ヨーロッパでは2002年12月18日以降OECD401試験法で行った結果は受け付けないこととなっています。

  • 1.急性経口毒性:固定用量法(OECD TG420)
    動物(ラット、マウス等)に化学物質を1回経口投与し、投与後14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。始めの投与用量は化学物質情報より5、50、300、2000mg/kgから決め、まず1匹の動物で試験をします。死亡しない場合その用量で引き続き動物4匹を試験し、その死亡数から一定の幅のあるLD50を推定します。
  • 2.急性経口毒性:毒性等級法(OECD TG423)
    固定用量法と投与用量、投与方法、観察期間・検査は同じですが、投与用量の設定方法が異なります。始め予測された量で動物3匹の試験を行い、2匹以上死亡した場合は用量を下げて同様に行います。同一投与量で2回行ったときの死亡が1匹以下/各試験になる用量を求めLD50の範囲を推定する試験です。(下図参照)

  • 3.急性経口毒性:up-and-down法(OECD TG425)
    始め予測された用量で動物1匹の試験を行い、死亡した場合は一定比で下げた用量を、死亡しなかった場合は一定比で増加した用量を、1匹に投与します。これを繰り返し動物3匹が死亡するまで行い死亡した時の投与量と死亡しなかった時の投与量から統計的な処理をしてLD50を求めます。
    米国では推奨されていますが、投与時の動物の週齢を合わせにくい、試験に日数がかかる、遅効性の毒性がある場合には試験が難しいなどの問題があります。

※急性経皮毒性試験(OECD TG402)

皮膚を経由して毒性を示すものあるいはその用途で皮膚への接触が主に考えられる場合などに行います。動物(ラット・マウス)に化学物質を最高2000mg/kgで、24時間塗布し、14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。

※急性吸入毒性試験(OECD TG403)

呼吸器を経由して毒性を示すものあるいはその用途で吸入曝露が主に考えられる場合などに行います。
動物(ラット・マウス)に化学物質を5mg/Lを最高用量として4時間吸入させ、14日間の死亡数、一般状態、体重、解剖検査より毒性を質的および量的に解明します。吸入毒性試験には全身曝露と鼻部曝露試験がありますが、必要試料量の少ない鼻部曝露試験でも他の急性毒性試験に比べ非常に多くの試料量を必要とします。(経口、経皮:数十g、吸入:kg~数十kg)

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局所刺激性試験

※皮膚刺激性試験・眼刺激性試験(OECD TG404・TG405)

皮膚刺激性・眼刺激性試験に関しては、OECDテストガイドラインでは動物愛護の観点から、被験物質の腐食性・刺激性を調査或いは構造相関より推定し、また被験物質のpHが2以下或いは11.5以上の場合はそれを持って腐食性と判断します。事前調査において腐食性・刺激性の情報が無く、pHが2~11.5の範囲内の場合は、まずin vitro(供試動物を用いない)試験を行い、in vitro試験において影響がない場合は動物による試験を行う手順になります。
皮膚刺激性・眼刺激性試験は供試動物としてウサギを用います。皮膚刺激性の場合は毛をそった1インチ(2.54cm)四方の皮膚に化学物質を液体は0.5mL、固体は0.5gを4時間閉塞塗布、眼の場合は化学物質を液体は0.1mL、固体は0.1gを点眼・適用し、試験を行います。1、24、48、72時間目に、皮膚刺激性では紅斑/痂皮および浮腫の発現の有無、眼刺激性では角膜混濁、虹彩炎、結膜発赤、結膜浮腫の有無で刺激性程度を判定します。

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感作性試験

※皮膚感作性試験

皮膚感作性とはアレルギー反応の一つで、化学物質により免疫反応が亢進され皮膚にかぶれが起こる現象です。感作性を有する物質によりリンパ節中の感作T型細胞が増殖し、再び同一化学物質に触れると認識されたT型細胞からリンホカインが放出され皮膚炎症を引き起こします。 皮膚感作性には幾つかの試験法があり、主な試験法の概要を以下に示します。

試験方法 GPMT法
(Maximization test)
APT法
(Adjuvant & patch test)
Buehler法 LLNA法
(Local Lymph Node Assay)
検知方法 アレルギー発生・観察 アレルギー発生・観察 アレルギー発生・観察 増殖T型細胞を検出
供試動物 モルモット モルモット モルモット マウス
免疫増強剤 使用 使用 使わない 使わない
感作方法 皮内注射+塗布 塗布 塗布 塗布
検出感度
OECD TG OECD TG406 OECD TG 406 OECD TG 429
EPA TG OPPTS870.2600 OPPTS870.2600 OPPTS870.2600
海外の状況





医療器具
農薬
衛生自主規制
ゴム製品JIS (抽出物)

動物愛護の観点から海外ではLLNA法への移行が進められています。

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変異原性試験

突然変異を引き起こす性質を変異原性(mutagenicity)と言い、変異原性と発がん性には高い相関があることが知られています。発がん性の試験には膨大な費用(1億円以上)と期間(3年)を要するため、発がん性予測のスクリーニングとして変異原性試験が広く用いられています。特にAmes試験(微生物を用いる復帰突然変異試験)は化審法並びに安衛法における新規化学物質の申請目的のみならずリスク評価管理などの目的で多くの化学物質について行われている試験です。染色体異常試験も化審法申請のためのスクリーニング毒性試験として要求されています。

※Ames試験

Ames試験は米国のAmes博士が開発した変異原性試験の一つで、多くの化学物質あるいはこれらを用いた製品の安全性の指針として行われている試験です。
本試験は、必須アミノ酸のヒスチジンあるいはトリプトファンがないと生育できないように変異させた(ヒスチジン要求性、トリプトファン要求性)サルモネラ菌や大腸菌を用い、これらの菌に変異性を有する物質(変異原)を処理すると菌が分裂する過程で元のヒスチジンやトリプトファン非要求性株に戻ること(復帰突然変異)を利用した試験です。
変異したヒスチジンやトリプトファン非要求性株はヒスチジンやトリプトファンを自己生産して増殖しコロニーを形成します。このコロニー数を計測することにより変異原性が陽性か陰性かを知ることができます。通常は5菌株[サルモネラ菌4菌株並びに大腸菌1菌株]を用いて行います。生体内の代謝活性により変異原となる物質も知られているため、ラットの肝臓抽出物(S9mix)を加えた代謝活性系での試験も同時に行います。
コロニー数が溶媒対照の2倍以上で用量依存性が見られる場合、陽性と判定します。

※哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験

Ames試験はDNAの塩基性配列の変化など比較的小さな変化を捉えていますが、DNAにより大きな障害がもたらされると、染色体の構造異常として現れます。染色体異常試験は通常チャイニーズハムスターの繊維芽細胞株等を用い、変異原による染色体の構造的異常並びに数的異常を計測し変異原性を調べます。
化審法ではスクリーニング毒性試験として要求されています。
また安衛法ではAmes試験で強い陽性を示した場合要求されます。

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反復投与毒性試験

化学物質の有害性をより適切に評価するためには、より長期の毒性試験を行うべきですが、慢性毒性試験は1年以上の長期にわたり化学物質を繰り返し供試動物に与え膨大な時間と費用を必要とします。
通常はそのスクリーニング的な試験として28日間反復投与毒性試験、反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験、90日間反復投与毒性試験などが行われます。

※28(90)日間反復投与毒性試験

28日間反復投与毒性試験は化審法のスクリーニング毒性試験として要求されています。ラットに化学物質を28(90)日間投与し、28(90)日間投与後の一般状態観察、死亡率、体重、摂餌・摂水量、血液検査、血液生化学検査、尿検査、機能検査、解剖・病理学検査、器官重量検査などを行い、被験物質の一般毒性を明らかにし無影響量NOEL(no observed effect level)あるいは無毒性量NOAEL(no observed adverse effect level)を求めます。

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